異世界への入り口「アニッシュ カプーア IN 別府」
先日、知人のイベント「BEPPUに学ぶ未来を切り開くアート思考」にて、BEPPU PROJECT 代表の山出淳也さんのお話を聞きました。
その中で、今非常に注目されているロンドン在中の現代彫刻家アニッシュ・カプーア氏の作品が、なんと!大分にやってきて「アニッシュ カプーア IN 別府」が開催されているのを知り、もう居ても立ってもいられなくなり行ってきましたw
ちなみにアニッシュ カプーアさんはこんな人♪
天気は快晴。気温23度。
ちょっと暑いかなと思いながらも、アニッシュ・カプーアの作品のイメージに合うようなコーディネイト(オーバーサイズな白の革ジャンとYohjiのバルーンパンツそして最近お気に入りのKUBORUMのメガネ)でワクワクしながら会場である広大な敷地の別府公園につきました。
入り口でチケットを購入し、木々の間を進んでいくとなんか意味深な白いキューブ状の建物が見えてきた。
この白い建物の中は「Void Pavilion V」と名付けられた作品で、今回の別府での展覧会が初となる新作だそう。
この建物の中に入ると、巨大な漆黒の円があるのみ。
この円は、集光率99%という現在世界で最も「黒い」塗料で塗られたもの。
あまりにも黒いため、どんなに目を凝らしても焦点を合わせことができず、次第に知覚が狂ってきた。
そのまま見続けていると、だんだんと吸い込まれ身体さえもっていかれそうなブラックホールのようにも感じるし、禍々しい別次元につながる入り口にさえ感じる。
ちょっとクラクラしながら、反対側のもう一方の入り口から中に入ると、壁面一面が漆黒でその前に、また漆黒の円がある。
この世のすべてを飲み込んでしまいそうな無限の闇。
この視界全体を覆い尽くすような漆黒でさらに感覚が揺らぎ、目の前の作品と自分の感覚の境界線がわからなくなり、身体がその漆黒の一部になっているような感覚が襲ってくる。
しかし、外に出ることも目を反らすこともできず、そのまま動けずにいると、今度はその漆黒の中に、自分の心象風景が見えてくる。
そこにどんなものを見たのか、ここではあえて書かない。
ここらあたりから僕は幻聴が聞こえ始めたので、流石にこれはマズいと思い転がるように外に出た。
しかし、これが決して不快ではない。
むしろ清々しさを感じる。
美しい風景や作品を見て心が洗われるなら、これは全く逆で、毒を以て毒を制する感じ。
こんな感覚は初めてです。
(イメージ図)
精神的に弱っている方や、過敏な方は入らないほうがいいでしょう。
作品にエネルギーもっていかれて体調を崩すかもしれませんのでご注意を。
次に見えてきたのが黒い建物。
ここのテーマは「Concept Of Happiness 」で、複数の作品が展示されているいました。
中にはガーゼとシリコンでできた肉塊のようなオブジェがいくつもあり、下の画像の他に巨大なヴァギナ連想させるのものもある。
これは性的な表現ではなく、溢れ出す生のエネルギー。
そしてそれは「美しいばかりじゃないんだよ」と語りかけてくるように僕は感じました。
(TOKYO ART BEAT より)
視聴コーナーではBCCによるアニッシュ カプーア特集番組(日本語訳つき)が放映されていました。(もちろん全部見たw)
そして今回の目玉あり、日本初公開となる直径6メートルにも及ぶ「SKY MIRROR」が圧巻でした。
まるで「空のかけら」が落ちてきたかのような錯覚をおぼえる。
上下逆に映し出し風景の内と外が曖昧になり、ずっと眺めていると自分も風景の一部になったような感覚になる。
ポッカリと広がる無限の異空間への入り口。
ただ、ちょっと広めに立ち入り禁止のテープが貼られており、もっと近づけたらこの素晴らしさがより多くの人に伝わるんじゃないかなと感じ、そこがちょっと残念でした。
アニッシュ カプーア氏の作品は、アートの歴史や知識を必要としない、知覚を揺さぶるものなので、感じ方は千差万別。
そしてこの場所、別府だからこそ出せた雰囲気って間違いなくある。
正解などなく鑑賞者の感じたままがすべてなんだろうな。
そしてこれこそがアートなんだろうなと思う。
素晴らしい経験をありがとう!
そしてこの奇跡に近い展覧会を別府で開催してくれた山出さんありがとう!
《 アニッシュ・カプーア IN 別府 》
会期:2018年10月6日(土) 〜 11月25日(日) 10:00 〜 18:00
会場:別府公園(大分県別府市野口原3018-1)
主催:混浴温泉世界実行委員会
アートディレクション:田中義久
総合プロデューサー:山出淳也(NPO法人 BEPPU PROJECT)