MN LAST | Leather Anatomical Jacket - 「クオリティと値段のギャップ」をデザインする
こんにちわ。
吉田です。
「10万未満で20万以上に見えるレザーを作ってください」
そんな無謀とも言えるオファーを出したところ、MN LASTのデザイナー蔵富氏は一笑することなく、真正面で受け止めそして、素晴らしい回答で応えてくれました。
言うまでもないですが、プライスがファッションの良し悪しを決めるわけじゃありません。
1000円のシャツでもカッコいい人もいれば、◯百万かけてわざわざダサくなっている人もいる。
しかし、そんなのはどうだっていいんです。
先日言ったように、周りからどう思われようと、自分のポテンシャルを高め最高のパフォーマンスを発揮できるようなスイッチがファッションにあるなら、それが自己満であろうとそれでいいじゃないかと。
新しい自己満足のスタイル。
そんな風に服を着る人がもっと増えれば、世の中今よりもちょっと奇妙で楽しい世界が待っているかもしれません(笑)
ファッションは服であったりアクセサリーであったり、当然モノが介在しておりそれぞれに価格があります。
(服だけじゃなく)その良し悪しを判断するときには価格をひとつの判断基準とする人が大半ではないでしょうか。
僕は服のことは多少わかりますが、例えば骨董なんて全くわかりません。
自分では5千円くらいにしか見えないツボが5百万円といわれれば「はーそうなんすか」としか言いようがないです。
お客様と話していると時折こんな言葉をいただくことがあります。
「これ本当にこの値段?」
この言葉の後に必ず「もっと高いかと思った」と続きます。
お客様によく似合う服のデザイン、気心地、サイズ感など、喜んでいただけるポイントはいくつかあるけれど、「クオリティと値段のギャップ」はそこにサプライズ的な要素も少し入っているのでお客様を楽しませるポイントになっています。
これを意図的に作り出せないだろうか?
「クオリティと値段のギャップ」もデザインすることはできないだろうか?
その問いが、
「10万未満で20万以上に見えるレザーを作ってください」
だったのです。
後染めしたカーフレザーは、まるで何十年も着込んだ相棒のように、光沢のある部分とマットな鈍いテカリがまだらに交錯し、まるで何かの模様のようにも見えてきます。
革が生きた証の傷はそのまま生かし、網目のようなシボ感も波打つシワ感が独特の表情を作り出しています。
ライダースでもなく、ロックでもない、しかし存在感は強く打ち出すため、極力パーツは省きながらも、センターにRACCAGNI社製の極太ジッパーを配置。
ブラックではありますが、下地にカーキベージュを入れているので、黒というよりセピア色のようなノスタルジックな色合いになっています。
ちょっと意地悪く批判的に見ても、とてもこの値段には見えない面構えに仕上がりにになりました。
デザイナーのインタビューの読んでいると、
「自分で着たい服がなかったから、自分でブランド作った」
と言ってるデザイナーがよくいますが、子供かと(笑)
そんなお遊びでやるのは資源の無駄。
デザイン、パターン、着心地、素材感、プライス・・・
様々な視点から着る人をどれだけ喜ばせ幸せにするのか。
それがプロのデザイナーです。
Leather Anatomical Jacket
Brand: MN LAST
Season: 2017AW
Art: MN171-081
Color: Black
Quality: Calf Leather
Size: 1(S), 2(M), 3(L)
Price: ¥91,800(税別¥85,000)