BORN TO BE FASHION - 装いだけではなく生き方そのものがファッションとなる -

08sircus 2018AW | ダサいのに強烈に惹かれる

KIMINORI MORISHITA 2018AW

 

こんにちわ。

吉田です。


2018年秋冬の展示会が8割ほど、終わりました。

 

いずれのブランドもそれぞれの特色を活かしたコレクションで、みなさんに喜んでいただけそうな服作りが展開されており、私的にも満足できるものでした。

 

当店で扱っているブランドはキャリアが長く、ネームバリューも高いものが多いのですが、つい気を抜くとそのブランド力に、惑わされることがあります。

 

ブログや店頭で何度も言ってますが、どんなに素晴らしいブランドでも、毎回100点満点のコレクションなんてありません(であるはずがありません)。

 

当店で扱っていない世界的なブランドでも、スベってる商品はいっぱいあります(笑)
美味しいところだけ摘んできて、あなたへ「はい、どうぞ」とお出しできるのが、セレクトショップの醍醐味であり面白いところでもあります。

 

 

「自分が着たい服をデザインする」と言ってるデザイナーは素人

 

先日、購読している永江一石さんのメルマガ内に、このような記述がありました。

 

「(お笑い芸人の)プロとアマのスタンスで最大の違いは「お客様に見せるため」か「自分が楽しむため」かなので、ニーズがないことをしても売れるはずがありません。

 

おそらく売れっ子芸人は「お客様は何が見たいのか」を徹底的に研究していると思いますよ。逆に売れない人は「モテたい」とか「こういうお笑いをやりたい」とか自分の気持ちだけを追い求めてるはず。

 

お笑い芸人を目指す99%の人が挫折する原因はここで、いわば顧客視点がないんだと自分は思います。

 


まさにこの通りで、バイヤーの「これカッケ♪」というショッピング気分では、お客様に支持されるわけがない。もちろんこれはブランドおよびデザイナーにも適用するわけです。

 

また、我々のような個店の場合は、そこに先見性も求められます。あなたが好みそうな範囲の50センチくらい外側にあるもの(笑)。あなたのウォンツの半歩先に行ったものが一番喜ばれる。

 

もちろん、失敗することもありますが、常に100点を目指してあなたへのドッキリを仕掛けるわけです(笑)

 

 

ブレイクスルーの瞬間


しかし。。。


ごく稀に、そのようなバイヤーとしてのあるべき姿がいとも簡単に吹き飛ばされることがあるのです。

 

先日、開催された08sircusの展示会に、そんなブラックスワン(注)がひっそりと佇んでいました。

 


なんか違う・・・
これまで08sircusとは様子が違う。。。

 

自然に浮かんできた印象は


「だ、ダサい・・・」(笑)

 

08sircus mens 2018AW

 


赤いボーダーのタートルに赤いパンツとベージュのファーコート。スカーフの柄を転写したデニムジャケットに黄色のパンツ。グリーンのジャケットのインにはキャンディーのようなカラフルなジャージ・・・ウザっw

 

全部、スベっとるやんけ!と、早々に荷物をまとめようと思ったのですが、どうも引っかかる。


なんなんだ、このザワつきは。


サイケデリック?とも違うし、70年代のモータウン?とも違うし、そんな単なるレトロな切り口ではなく、新鮮な香りが脳裏を刺激する。
これはなんだ?

ダサいのに、強烈に惹かれる。
これって、もしかしてカッコいいのでは。

 

 

加齢臭漂う若者たちへ


気がついた時には、夢中で自分で着たいものを探してました。たぶん、当店の地元、小倉で着て歩いてたらニヤケ顔で二度見されるかもしれない(笑)。


僕自身はそれくらい1ミリも痛くもかゆくもないのですが、お客さんにまでそのゾーンへ送り込んでよいのだろうか?

 

普通に考えたら、リスクが大きすぎる。


現代のファッションは、ハイファッションが流行のお題を作り、それをファストファッションが噛み砕いてマスへ落とし込んでいるように見えます。

 

右へ倣えの大量生産と大量破棄。

売れるものが正義。

 

ここになんとなくカビ臭い古臭さというか、おっさんの加齢臭に似たようなものを最近感じはじめています。デザインは今っぽいのだけどなぜかツンと匂う。

 

若者が加齢臭を着させられているという皮肉(笑)

 

 

これは僕の勝手な解釈なんですが、今回の08sircusのコレクションはそんな加齢臭ファッションへのアンチテーゼのようなものを感じるのです。

 

ダサいのに、若者加齢臭より圧倒的にスマートであるというパラドックス。

  

この世界観をウチで表現したい。

と、ぐるぐるうごめくマグマのような衝動。。。

 

 

わがままを承知で


ごめんなさい。

僕のわがままをあなたに押し付けるかもしれない。

 

例えば、Bowieはグラムロックからニューウェイブ、モダニズム、ポップ、ドラムンベース、クラブジャズ・・・と時代と共に変化してきた。新しい魅力に惹かれるファンと同時に多くのアンチも生んだ。


それでも変化し続けることを恐れなかった。

 

そしてレジェンドとなった。

 

表現者はかくあるべきだと思う。

ビジネスそしてプロである以上、ファンを喜ばせることに長けてないといけない。

 

しかし、新しい扉から新しい景色も見せることも必要で、それが予想できないような強烈なインパクトを放てるのはほんの一握り。プロ中のプロのみだけだろう。

 

08sircus womens 2018AW

 

 

08sircusがあなたを試す

 

おかげさまで「吉田さんのオススメするものなら間違いない」と言ってくださるお客様が多い。

 

それはもう涙が滲むほど嬉しいことなのですが、あなた自身もイメージすることを欠かしてはなりません。

 

僕にできる範囲で最高のあなたを演出させていただいているつもりですが、どうかあなた自身も「この色の組み合わせはどうかな」「このシルエットは自分にあっているのかな」とイメージする癖をつけてください。

 

ファッションセンスは「単なるデータ収集力」といつも言ってますが、それをさらに使いこなすには、イメージ力は欠かせません。

 

そう言った意味では、08sircus2018AWコレクションはあなたのイメージ力を試すと同時に議論を呼び起こすようなパワーを秘めています。

 

あらためて、ファッションって面白い、奥が深いなと噛みしめています。


08sircus2018AWの服たちが店頭に入った頃、あなたとどんな話ができるのか、今から楽しみで仕方ありません。

 

  

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

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(注)ブラックスワン

「予測できない」「非常に強い衝撃を与える」などあり得ないと思われていたことが急に生じること